05 - 金は無から生まれる
【三橋貴明×山本太郎】Part1 絶対にTVでカットされる国債の真実
「それじゃあ見ていこう。あ、動画の話をつまみ食いするので、これを読む人は観てからのほうがいいです」
返ってきたボロボロの C202SA を前に、私は動画の再生を始める。
太郎: 人々の権利であったり色んなことに関してはすごく、考えが深い先生は多いんですけど、一方でお金の話になるとやっぱり財務省の話になっちゃうんですよね
「財務省の話、というのは、政府の借金を増やすやつは文字通り殺す、という考え方です。ネットでもこの部分に入ると豹変する人がいて本当に怖い」
『そうなんですか』
「貯蓄はあってももう働けない人とかは、物価が低いほうが暮らしやすい。だから財政出動みたいにインフレを誘導する政策は絶対受け入れられないんだと思う」
「実質賃金の件はたぶん これ。お金が全然使われなくなった、という話」
『はい』
「私が雑に計算した話していい?明治時代はアンパン 1 個 5 厘だったんだぜ〜ってやつ」
『どうぞ』
「実家にあった岩波国語辞典第三版の値段が 800 円くらい?だったと思う。で、当時の大卒初任給 が 10 万円くらい。で、今は初任給が 20 万円くらいで岩波国語辞典第七版の値段が消費税込 3300 円になる予定なので、使える金が当時の半分以下に目減りしてます」
『まあ、参考ですね』
「うん。退職した人と話すときに『いまの若い人の暮らしを知りたいときは、物の値段を 2, 3 倍にするとイメージがつきます』ってハッタリかます。たぶん実感としてもずれてないと思う」
『なるほど』
「そうだ。ええと、実質賃金と名目賃金の違いをどう捉えているのか教えて」
『給料を決めるときには、実質賃金をベースにします。そこに役員手当とか、いろんな手当がついて名目賃金を決めますね』
「ありがと」
「突然だけどいきなりクライマックス」
『はい』
三橋が説明したのは万年筆マネーというお金の捉え方だ。
「この考えが全くピンとこないんだけど、どう?」
『紙幣なんて紙切れだっていうのの一種じゃないんですかね』
「あ、違和感は特にないんだ」
『紙幣に価値を与えてるのは信用ですから。だから信用がなくなれば紙切れです。カネは儲かるところに集まります。今は金融不安が迫ってるので、動産として価値がある金 (きん) の価格がめちゃくちゃ上がってますよ』
「そうなんだ。私は『おカネとは債務と債権の記録』って言われてもいまいち納得できなかったので、何がわからなかったのかわかるまで調べました。『おかしいと思ったら何かがおかしい』ので、疑問を持つのは大事」
『どうでした?』
「ここが今流行りの MMT の急所だった」
現代貨幣論(MMT)はどこが間違っているのか<ゼロから始める経済学・第7回>
「長い話になるけどいい?」
『どうぞ』
「まず、これまでの経済学ではお金が何なのかわかってなかった」
いまでも、主流派経済学にはお金が登場しないのです。(嘘だと思うなら、ミクロ経済学かマクロ経済学の教科書を開いてみてください。貨幣は、まったく取扱いがないか、附録か補論に位置づけられているだけです。)
『ほんとですかそれ』
「貨幣論のエキスパートが断言してるから今まで相当不満だったんだと思う。でもそのままほったらかしにされてたら 銀行の貸すお金がどこから来るのか説明できなかったり、いくら日銀がお金を発行してもインフレにならない理由が説明できなかったり 、なんか変な状態になった。で、彗星のように登場した MMT では、お金を『債務と債権』の関係で捉えなおす。この考えのすごいところは、『個人の取引』と『税』の仕組みを統一したところ。それまで全然違うと考えられていた 2 つのものが実は同じ『債務と債権』なんだと提唱したわけ。しかもこの記事を書いた結城教授は、 MMT の本質がここにあると見抜いていてすごい」
『記事だとそれが間違いだって言ってますけど』
「そうそう。それが現実の経済として影響が出る規模なのか、が問題になると思う。たとえばニュートン力学は宇宙の規模だと間違いだけど、半導体とか一部をのぞけば今でも日常生活で使える。MMT の場合は即時修正しなければ破綻するほどの間違いなのか、結城教授も言ってるように 学術的な検証が必要 だと思います」
「これ決意表明だよね。かっこいいなあ」
うっとりする私に C202SA も苦笑する。
「なんかきれいにオチもついたし、もう終わってもいいんじゃない?」
『ダメですよ』
「あとは動画を観ていただいて…」
『他にも聞きたいことがあるんじゃないんですか?』
「山ほどあります」
『じゃあ続けましょう』
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