11th

11 - 土建屋叩き

「そういえばさっきスルーしたけど、認知的不協和ってわかる?」
『んー、なんとなく』
「知識と事実にズレがあるときに、間違いを受け入れるのがめんどくさいから妄想で解決しようとすること。たとえば借金が増えれば破綻するはずなのに日本が破綻しないから、『いや、実は破綻する瀬戸際なんだ』とか『ハイパーインフレになる』とかあの手この手で説明しようとする」
『消費税が 25% まで増税されても日本が潰れないのも事実ですよね』
「喧嘩の売り方うまいじゃん。誰に教わったの?」
『さあ、誰でしょう』
「ふふふ」
『ふふふ』

C202SA はビジネスマンの記憶が薄れつつある。急がなければ。


三橋: ‘80 年代から ‘90 年代にかけて土建屋叩きっていうのがすごかったんですよ。それで、非常に萎縮しちゃって、みんな「やがて嵐は過ぎ去るさ〜」って思ってたらどんどんどんどん公共投資削られて、消えていきました。会社自体が。ピークは 60 万社あった日本の建設業は、 47 万社まで下がったかな
太郎: そんなに
三橋: 13 万社消えたんですね。相当、これもうあえて言いますけど、経営者が結構自殺しました
太郎: うわぁ…緊縮は人を殺しますね
三橋: しかも、次の震災とか災害があった時に、我々が守られないから、我々も殺されるわけです。緊縮によって

「土建屋叩きについて教えてほしい」
『昔は土建屋が国から予算とって地方に分配してたんです。だから地方議員は土建屋の票集めして当選してたんですね。で、道路。東北道、東関道…、あとは新幹線。長野新幹線、新潟新幹線 (正しくは上越新幹線)、金沢新幹線 (正しくは北陸新幹線)…。こういうのはずっとあるんです。でもそれ以外はかなり減って、ゼネコンが整理されました』
「ゼネコンって辺野古基地の利権でも出てきたけど、具体的にイメージできないんだけど何?建設会社と違うの?」
『大きな仕事をトップの会社が請け負うと、それを下請けに割り振るんです。そうやって大きなピラミッドができるんですよ』
「じゃあゼネコンが整理されたってことは、トップの会社がなくなっちゃったんだ」
『数が減りました。だから震災やオリンピックで需要があっても会社は潰れたままですから、生きのびたやつがぼったくる仕組みになってます』

デービッド・アトキンソンが 『日本人の勝算』 で言っていた 『ラストマン・スタンディング』 戦略だ、と私は思った。需要が減るなかで企業は生き残りを図り、利益を、経費を、そして人件費を削り、命を部品のように使い捨て、最後に残った企業が全ての利益を得る。

『でもオリンピックみたいな大きな需要はこの後ないかもしれません。剰余金がないと食わせられませんよ』

だから大企業は貯め込んでいるのか。彼らは将来が不安だから財布の紐を締めているのだ。家計のように。だが Twitter というピンホールから見える世界は狭い。多くの人々は 40 年前に嫉妬で土建屋叩きをしたように、今は嫉妬で大企業の内部留保叩きをしている。

貧困層の救済や社会的な不公平を是正するという目的自体は、本来正しかったはずだ。しかし、チャベス政権の政策は、国家の「めしのタネ」、国家戦略上極めて重要な原油産業を、金のガチョウを殺してしまうように自らの手で潰してしまったのだ。 ―― ベネズエラを事実上のデフォルトに追い込んだ「ポピュリズム」の恐怖

やはり全然知らない世界の人と話すのは面白い。

「他国の取引先の人と景気の話ってしないの?」
『いえ、しませんね』

知りたい。



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