12 - 消費増税のためですよ
Part2 の後半からは、現政権による前政権を上回る緊縮、その背景にある財務省の暗躍や、麻生財務大臣が豹変したことが語られる。噂話が大好きな私はとても面白かったが、 C202SA の反応は鈍かった。
三橋: あとはとにかくマンパワーがすごいです。こういう明石さんが書いてるような内容を、 300 人体制とかで、政治家はもちろん、学会とか財界、ジャーナリストに『ご説明』にまわるんですよ
「さっき調べたんだけど『ご説明』のページがあった」
「しかも『無料』です!」
『ええ!?』
「キミも地域の公共施設を予約して、スーパーエリートと握手!」
『はあ』
「人数集めれば経理の達人の授業を無料で受けられるってすごくない?」
『ええ、まあ』
「小学生なんて集めたら財務省の人もがんばっちゃうかもしれない」
『あ、ちょっと楽しそう』
「でしょ?キャリア組の人とかは来てくれないのかなあ。東大法学部卒のキャリア官僚の人と話してみたい」
『そういう泥仕事はやらないと思いますけど…』
「正義に燃える心で破綻論と大増税を訴える姿を見たい!」
『からかうつもり満々じゃないですか。だめですよそれ』
「そんなつもりはありません。予算編成のプロがどうやって組んでるのか勉強になるし、むしろそれが知りたい。現場のプロだけが知ってるコツを学べるチャンス!」
対談が厚生労働省の統計不正の話に入った途端、私の顔が険しくなる。
「👹…」
『ちょ、ちょっと、怖いですよ』
「怒りたくもなるよ。意図しない計算間違いとか、結果の解釈が間違っていたとかは人間の宿命だから、謝って直せば許せる問題だけど、数字書き換えていいならなんでお金と時間をかけて集計してるのかわからなくなる」
『じゃあ集計なんてやめましょうか』
「原始時代に戻りたいならどうぞ」
「これ動画の左上にあるテロップの答えだよね。『官僚・政治家・御用学者…なぜエリートは嘘をついてしまうのか?』」
『消費増税のためですね』
「スーパーエリートでさえ嘘ついてデータ捏造しないと上げられないんだから、これは完璧なニセモノだよ」
『じゃあ本物の税はあるんですかね』
「適切な課税なら嘘つく必要ないじゃん。『経理さんが 27% まで上げたいって言ってるから詳しくはそっちに聞いてよ』って財務省に丸投げしてもいいんだし」
『あ、ほんとにそこまで上げようとしてるんですね』
「どこまで上げたいのかわからないけど、高い値吹っかけておけば『そこまでじゃないです。 23% です』って言うかもしれないし、黙ってたら『ああ、そうなんだな』ってわかる」
三橋: 14 年の消費増税によって実質賃金は究極のマイナスになってんじゃねーかと。こっち出せよ土居さんよ、と
太郎: すごいですねぇ、やり方が上手ですね
「これ 元の記事 見ると、一貫して名目賃金で話を作ってるから、記事そのものに間違いはない」
『やり方が上手なんですね』
「うん。野球の試合でヒットの数だけ表示してるような不気味さがある」
『?』
「たとえば 4 対 3 って数字が書かれてたら得点のことだって誰でも思うでしょ。チームの勝敗を誤解させる意図が明確に感じられて気持ち悪い」
『あー、たしかに』
「記事の冒頭に出てくるグラフも名目賃金なんだけど、『賃金指数』ってタイトルで統一して、問題を回避してます。こういうの見てると背筋が寒くなってくる」
『どういう意味ですか』
「クスリに一発手を出した人が徐々に溺れていくみたいに、小さなごまかしが蓄積していって歯止めが効かなくなるんだろうなって思えて怖くなる。少しずつ皮膚が腐っていくのを見せられてるような」
『ちょっと、気味悪いこと言わないでくださいよ』
「だからそういうのを見せられてるような怖さなんだって。嘘は小説の中だけにしないとね。うー、かゆい」
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