14th

14 - れいわの考える国のかたち?

「…」

私は 3 冊に増えた 『統計学が最強の学問である』 を前に困っていた。

『経営は人です』の意味を聞きそびれた私は、他の経営者に、その言葉が出てきた経緯を話し、意味をたずねた。どんな経営者かって?理容師さんや手芸教室の先生や海運会社です。

返ってきた答えは同じだった。『経営は人です』は、パナソニック創業者・松下幸之助の『事業は人なり』と同じで、『経営とは人を育てること』を指す。

そして私が「経営は人ですって本当ですか?」と聞くと、誰もが同じように唸り、その通りと答えた。きっとプログラマーにとっての『一つのことをうまくやる』のように、その道を進む者であれば誰もが心に留めていることなのだろう。

問題は、話した人のなかに、先の本をくれた方がいたことだ。「あなたはこれに興味があるんでしょ?」と得意げに、かつ「それを見抜く俺にはやはり人を見る目がある」と言わんばかりに。はい、おっしゃるとおりであります。世の中には、意欲がある人を応援する天使がこんなにいるのだ。うれしい。本当にうれしいけど、被ってます。 3 冊もどうしよう。しかも私はすでに Kindle 版を持っているのだ。


『トイレに一冊置きましょう』C202SA が言った。その外装は交換され、新品の輝きを取り戻している。

「物は置きたくない」
『誰かに差し上げるのは?』
「そんな失礼なことできるわけないでしょ」
『すみません』
「でも、読みたい人には貸せるかも。貸したら返ってこないから」

C202SA にはもはやスーパービジネスマンの記憶はない。経済や世の中のことを訪ねても私が感心するような答えは返ってこないだろう。ただ、時折投げかけてくる素朴な問いが、私の知識が血肉となっているか残酷に試す。

『最近経済のことばかり調べてますけど、きっかけでもあったんですか』
「そんなん知らんわ」
『えー…じゃあ、なんでそのピンクの人たちばっか調べてるんですか』
「知らないことを教えてくれるからです。消費税の使い道とか、給料上げる方法とか、地方の復活とか」
『どうやるんですか?』
「想像の話になるけどいい?」
『はい』
「地方にビルと道路と水道をにょきにょき生やします。そこで住居と賃金を保障して人が安心して暮らせるようにします。でも野山をぶっ壊すわけじゃなくて、たぶん、地方都市を底上げして、そこを拠点に周辺が賑わっていく感じ」
『そうしたい目的は?』
「日本は災害が多いので、全国に人々を分散させないと、1 ヶ所に集めてそこが崩壊したらおしまいです」
『予算を確保する方法は?』

「そのへん、ずっと思ってたことなんだけどさ」

空気が青白く変わる。

「ケチな暮らしに飽きちゃった」

『…』C202SA の質問が途絶える。

なんか、世の中が変わらないと、死ぬまでケチケチしなきゃいけないのが想像できて、めんどくさくなってしまった。清貧や倹約は良いことかもしれないが、私はあくまで自分の判断でケチな暮らしをしたいので、誰かに強いられるなんてまっぴらだ。放蕩に浮かれる人々のなかでキチッと倹約するのがかっこいいのに、景気のいい人はごくわずかしかいない。大半は生活するだけで精一杯。あんな綱渡りの暮らしを強いられていたら清貧どころか心が荒んでしまうよ。

みんなには贅沢してもらわなければ、禁欲な暮らしをしても目立たない。みんな金持ちになれ。幸いなことに、この国にある『打ち出の小槌』は今使っても誰の損にもならない。渡りに船だ。だからそれを使ってどんどん金を回して、どんどん贅沢してみんな幸せになってほしい。ただし痛風と肥満には気をつけて。

mmtは現代に実現される打ち出の小槌なのでしょうか?


そうして私は私の意思でケチな暮らしをしたい。



© 2019 jamcha (jamcha.aa@gmail.com).